デジタルが実現する新たな「健康経営」の実践

第2回:社員の健康状態や組織の課題をどのように可視化するのか

古田健 (NTTPCコミュニケーションズ)

2024-04-10 06:00

 前回は、企業が健康経営に取り組む背景や、従業員の生産性の低下を招くプレゼンティーズム(心身の不調を抱えていながら業務を行っている状態)の原因、現状について説明しました。今回は、企業の現状を把握する(可視化)の具体的な方法について触れていきたいと思います。

ストレスチェックや各種サーベイとは

 現状把握で最もよく使われるのが、労働安全衛生法で規定され、2015年から50人以上の会社組織に年1回の実施が義務化されている「ストレスチェック」があります。そのほか、「ES調査(従業員満足度調査)」や「従業員エンゲージメントサーベイ」など多様な調査方法が存在し、広く企業に活用されています。アンケート用紙に記載する形やウェブベースで定期的に調査対象者の主観情報を収集し、主に3つの状態の把握に活用されるものとなります。

 1つ目は「社員自身のストレスがどのような状態にあるか」を把握するものです。職場における従業員の心理的な負担の原因に関する項目や、心理的負担による調査対象者自身の自覚症状に関する項目、職場における調査対象者への支援に関する項目などを聞くものです。

 2つ目が従業員エンゲージメントの状態を把握するもので、従業員が所属している企業組織をどの程度理解し、愛着を持って仕事をしているか、などに関する事項が多くなります。例えば、「会社は自分のためにどういう環境を用意しているのか」「会社のビジョンが調査対象者自身のキャリア形成の上で賛同できるものか」などを聞くものです。

 3つ目が生産性に関する調査で、調査対象者自身の実力の何%ぐらいの仕事ができているかなどを聞くものになります。

 こういったものが、組織単位で半年に1回、多いところだと1カ月に1回ぐらい行われています。それによって、経営、総務、人事など管理部門担当が、定期的に組織の状態を可視化しています。

 ただし、こういった定期的な調査の運用には課題もあります。

 経営層や管理部門の担当、管理者などが、1年に1回、2回実施した結果だけを見ても、「これを見て、どう対策すればいいのか」「具体的な課題はどこにあるのか」などの声が現場の管理者からよく聞かれます。そのほか、よく言われているのがアンケート疲れです。1カ月に1回ぐらいアンケートを採っている会社もありますが、同じようなアンケートを何回もさせられると従業員がアンケート疲れを起こし、惰性でアンケートに答えてしまう傾向もあるという声も聞かれます。

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