ソフトがタダ同然なのにコストが下がらないのは運用が複雑化してるため:Canonical

松下康之

2016-06-16 07:00

 6月8~10日まで幕張メッセで開催されたInterop 2016にUbuntuの開発元であるCanonicalの創業者 Mark Shuttleworth氏が登壇。インターネットとオープンソースソフトウェアが抱える課題に関して「Success is all about Operation」と題して講演した。

満員の参加者に向けて語った「運用が重要」というメッセージ

 Interop初日に行われた、約500人のキャパシティに対して1000人以上の参加希望があったというShuttleworth氏の基調講演だが、タイトルが示すようにITによる成功とはもはや機能や価格競争力ではなく「運用をいかに効率良くできるか」にかかっているというものであった。

 まずUbuntuがCloudやOpenStackの環境において高いシェアを持っていることを紹介した。Amazon Web Services(AWS)のマシンイメージとして70%がUbuntuであり、MicrosoftのAzureにおいては80%、Dockerのイメージの70%、そしてOpenStackにおいても65%がUbuntuを使っているという。そこからテレコムキャリアにおける通信インフラとしても高いシェアを持っていると強調。

 次にオープンソースソフトウェアの登場によってソフトウェアそのものの価格が限りなくゼロに近づいている一方、コストの総量は変わらず、むしろ高くなっている。その原因はオペレーションのコスト、つまり運用する人件費などが上がっているからであり、運用そのものを減らさないとコスト削減もビジネスの改革もできないという内容だ。


Canonicalの創業者、Mark Shuttleworth氏

 特にクラウドネイティブなシステムはモノシリック(一枚板)ではなく多くのマイクロサービスで成り立っているため、1つの要素だけでなく、関連する全ての要素に関してコスト削減する必要がある。つまり現在のシステムは過去のモノリシックなアプリに比べ、格段と難しくなっているというのがShuttleworth氏の問題提起だった。

 かつてのモノリシックなシンプルなアプリケーションから3層構造のアプリケーションに移行し、さらにコンテナーベースに移行した現在、多くのモジュールに分割されたサブシステムを運用することが非常に難しくなってきたという。そしてGoogleやAWS、Netflixなどを例に挙げ、彼らのシステムが手作業で行われているのではなく自動化、そしてモデル化することで数千台のサーバやソフトウェアを管理しているのだという。

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