海外コメンタリー

データセンターのさらなるグリーン化へ、今後どう取り組むか

Daphne Leprince-Ringuet (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-02-03 06:30

 Googleは2017年以降、同社の電力消費量に相当するだけの再生可能エネルギーを購入することで、使用する電力のカーボンフットプリントを実質的にゼロにしている。Amazonも2030年に向けて再生可能エネルギーの比率を100%に引き上げるという目標を設定しており、Facebookは2021年時点ですでに世界の同社の事業で再生エネルギー比率100%を達成している。またMicrosoftは、2025年までに自社のデータセンターで再生可能エネルギー比率100%を達成することを目指している

 グリーンデータセンターへの投資はもはや単なるトレンドではなく、大手IT企業の責務のようになっている。今では、ほとんどの大手IT企業が自らに環境保護に向けた取り組みを課していると言っていい。

 それには十分な理由がある。データセンターは世界中で日々発生している無数のトランザクションを処理する巨大な産業施設であり、全世界の数パーセントもの電力を消費していると推計されている。電力の多くは、サーバーと冷却システムで消費されている。やりとりされるデータは増える一方で、2025年には175ゼタバイトに達すると見込まれている。1ゼタバイトは1兆ギガバイトだ。データセンターの活動が縮小する兆候は、今のところまったく見えていない。

 その意味では、大手IT企業が積極的に環境対策を進めると約束していることは当然のことのようにも思える。しかし、実際に約束を果たすまでには、まだ克服しなければならない課題が数多く残っているのが現状だ。ワシントン大学クリーンエネルギー研究所(CEI)のエネルギー貯蔵を専門とする研究者であるStuart Adler氏は、米ZDNetの取材に対して、「IT企業が魔法のような技術が登場するのを待っていれば、いずれはそうした技術が出てくるかもしれない。しかし、それらの企業が掲げている再生エネルギー比率100%を実現するためのスケジュールに間に合うタイミングで手に入るかは疑問だ」と述べている。「私にはその確信はない」

 脱酸素化された未来のために各社が宣言している約束は、一見素晴らしいものに見えるが、その実態は細部まで見ていかないと分からない。例えば、多くの企業が掲げている「再生可能エネルギー比率100%」の約束は、実際には各企業が毎年消費したのと同じ量の再生可能エネルギーを購入することを意味している。しかしこれは、データセンターのすべての電力を、1日中太陽光発電や風力発電で得られた電力で賄うという意味ではない。再生可能エネルギーの比率100%を厳密に解釈すると、その目標を達成するのはずっと難しくなる。

 データセンターは通常、その地域の電力網に接続されている。これは、再生可能エネルギーの電力が不足した場合、別の発電源で電力を生み出す必要があることを意味する。その多くは化石燃料を使用した発電源だ。こうした変動を補うために、企業は別の電力網に存在する再生可能エネルギーの発電所と契約し、再生可能エネルギーの全体的な購買量が総電力消費量と一致するようにしている。

 つまり、IT企業の取り組みは再生可能エネルギーの購入(それがどんな再生エネルギーかに関わらず)を中心にしている場合が多いということだ。Googleは2017年だけでも、米国のロードアイランド州の年間電力消費量と同じ量の電力を太陽光発電所や風力発電所から購入しているし、Facebookは、2019年に米国の家庭160万世帯以上に供給できるほどの再生可能エネルギーについて契約している。

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