ZDNet Japan Editor's Note

強制的な在宅勤務で見えてきたのは業務の非効率性?

田中好伸 (編集部)

2020-12-31 08:00

 2020年を振り返って大きく目に付くのが、コロナ禍の影響による働き方の変化です。2019年4月から段階的に施行されている働き方改革関連法によって働き方は少しずつ変化してきましたが、コロナ禍で大きく変わらざるを得なくなりました。緊急事態宣言以降、強制的に在宅勤務をしなければならなくなったというわけです。

 在宅勤務は、テレワーク/リモートワークを支えるITを活用できます。しかし、働き方改革や働き方改革関連法によるテレワーク/リモートワークは、コロナ禍のような感染症状況下での事業継続性を目的としていません。

 特に2020年に予定されていた東京五輪での交通渋滞に対応するためのテレワーク/リモートワークと人出を減らすためのテレワーク/リモートワークでは、性質が大きく異なります。実際、コロナ禍対応の在宅勤務では「VPNの帯域が足りない」「支給するノートPCが足りない」などの問題が起きています。一定数の人員がオフィスにいることを前提にしているためです。

 強制的な在宅勤務を経験してからの調査を見ますと、「在宅勤務の継続」を希望する声が上がる一方で、「在宅勤務では生産性が上がらない」といった声も聞こえてきます。この背景にあるのは、コロナ禍以前は、オフィスに集まって働くことを前提にして業務を進めていましたが、コロナ禍では、従来の業務の進め方が通用しなくなったという事実です。紙をベースにしたワークフローや契約書などがその典型例と指摘できます。

 しかし、見方を変えると、これまでの業務は実は非効率だったとも言えます。紙をベースにした業務をデジタルにすれば、一つひとつの業務にかかる時間が短縮されることで(関係者にハンコを押してもらうために歩き回ることがなくなる)、プロセス全体のスピードも速くなるわけです。

 つまりは、コロナ禍の強制的な在宅勤務で、これまでの業務の非効率さが露呈してしまったという表現も可能でしょう。コロナ禍を契機に非効率な業務を見直して、ITをより活用して、デジタルを組み込んだ業務プロセスを再設計できるというチャンスが訪れたと言ってもいいかもしれません。

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