オープンソースDB採用でイノベーションに投資をまわせ--米エンタープライズDB

日川佳三

2016-03-14 07:00

 米EnterpriseDBは、RDBMSの「EDB Postgres」(旧称はPostgres Plus)を販売している企業だ。EDB Postgresは、オープンソース(OSS)のRDBMS「PostgreSQL」をエンジンに採用しつつ、エンタープライズ向けの機能を追加した上位の商用版に相当する。

 データベースエンジンに加え、データベース管理や性能診断ツールなどのツール群とサポートサービスなどで構成。これらを年額制のサブスクリプション(購読)ライセンスの形式で提供する。商用RDBMSとして一般的に使われているOracle Databaseからの移行を考慮して互換性を高めたほか、データベースの移行ツールも備える。

 直近では、1月に新版をリリース。コミュニティ版に当たるPostgreSQLがPostgreSQL 9.5にバージョンアップしたことを受け、EDB PostgresもEDB Postgres 9.5に上げた。2月18日には、日本法人のエンタープライズDBが東京でプライベートイベント「Enterprise DB Summit Tokyo」を開催した。

OSSに移行して浮いたコストをイノベーションに投資せよ

米EnterpriseDB、Asia Pacific & Japan担当Vice PresidentのGraham Pullen氏
米EnterpriseDB、Asia Pacific & Japan担当Vice PresidentのGraham Pullen氏

 「データベースはOSSが主流になる」と主張するのは、米EnterpriseDBでAsia Pacific & Japan担当Vice Presidentを務めるGraham Pullen氏。Oracle Databaseなどの既存の商用DBMSからOSSへのマイグレーションという潮流と、新規アプリケーションでのOSSの採用という潮流の2つの流れがある。

 Graham氏は、米Gartnerの予測を引用。「2018年までに既存の商用DBMSの50%がOSSにリプレースされ、データベース全体の80%がOSSになる」と説明する。

 OSSが主流になる最大の理由はコストだ。商用DBMSの代わりにOSSのPostgreSQLやEDB Postgresを使えば大きくコストを減らせる。「現状ではIT予算の35%が既存のDBMSの維持管理に使われている。膨大な経費が現状維持のためだけに使われてしまっている」(Graham氏)

 実際に、米EnterpriseDBの顧客3000社以上の実績値の平均では、既存のDBMSからEDB Postgresに移行することによってデータベースの維持コストを70%以上削減できているという。

 こうして浮いたコストは、イノベーションに投資できる。「企業は、やりたいことはすでにあり、どこから資金を調達するかに悩んでいる」(Graham氏)。例えば、IoTデバイスやモバイルを活用して顧客との接点を活用するといった具合だ。爆発的に増えているデータを蓄積して活用したいとも考えている。

 イノベーションへの投資は、企業が今後生き残りを図るためには必須となる。Graham氏はMIT(マサチューセッツ工科大学)が2013年に発表したレポートを引用し、「Fortune 500企業の4社に3社が、15年後には統廃合によって消滅する」と指摘。「生き残りをかけた熾烈な争いになる」(Graham氏)

 こうした変化の中、ITコストを抑制できるEDB Postgresの利用を提唱することは、時期に適っているとGraham氏は主張する。

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